カオスマップ

日本におけるステーブルコイン市場カオスマップ(2026年版)

編集部

日本におけるステーブルコイン市場カオスマップ 2026年版(クリックで拡大表示・別タブ)
日本におけるステーブルコイン市場カオスマップ 2026年版(クリックで拡大表示・別タブ)

掲載基準 本カオスマップに掲載している企業は、自社発表だけでなく、第三者メディアの報道や提携先・規制当局の公式発表など、客観的な第三者情報により信頼性を検証済みの企業のみです。自社発信のみで裏付けが取れなかった企業は掲載していません。

本記事では、公開情報を基に、日本市場に参入している主要プレイヤーの動向と、第三者情報に基づく各企業の信頼性検証結果をまとめました。本調査は、自社発表のみならず、メディア報道や提携先からの公式発表など、客観的な情報源に基づいて評価を行っています。

1. カオスマップ作成の背景と選定基準

2023年6月に施行された改正資金決済法により、日本は世界に先駆けてステーブルコインを「電子決済手段」として法的に定義しました [1]。これにより、発行体および仲介者には厳格なライセンス制が導入され、市場の透明性と安全性が高まっています。

本調査およびカオスマップの作成にあたっては、以下の基準で企業の選定と分類を行いました。

  • 信頼性評価「高」: 複数の信頼できる第三者メディア(日本経済新聞、CoinPost、あたらしい経済など)による報道があり、提携先や規制当局からの公式発表が確認できる企業。
  • 信頼性評価「中」: 自社発表に加え、一部の第三者報道が確認できるが、事業の本格展開やライセンス取得が未確認、あるいは間接的な関与に留まる企業。
  • 除外対象: 自社からの発信のみで、第三者による客観的な裏付けが十分に確認できなかった企業(信頼性評価「低」)。

2. カテゴリ別 主要プレイヤーの動向

発行体(銀行・信託)

銀行や信託銀行は、特定信託受益権(第3号電子決済手段)を活用したステーブルコインの発行を主導しています。信託財産による倒産隔離が特徴で、大口決済やB2B取引に適しています [2]。

  • 三菱UFJ銀行 / みずほ銀行: 3メガバンクによる共同発行構想を進めており、Progmatを活用した企業間決済向け日本円ステーブルコインの実証実験を行っています [3]。
  • 三井住友銀行: TIS、Ava Labs、Fireblocksと共に、ホールセール領域での決済利用やトークン化資産の決済手段としての活用を検討しています [4]。
  • ソニー銀行: JPYC株式会社と提携し、日本円ステーブルコインとの連携サービスを検討するほか、米国での米ドル建てステーブルコイン発行も計画しています [5]。
  • みんなの銀行: Solanaブロックチェーンを基盤としたステーブルコインの事業化に向け、TISなどと共同検討を開始しています [6]。

発行体(資金移動業・その他)

資金移動業者は、通貨建資産(第1号電子決済手段)として、日常的な決済や送金に特化したステーブルコインを発行しています。

  • JPYC株式会社: 2025年8月に国内初の資金移動業者(第1号電子決済手段)として認可を取得し、日本円連動ステーブルコイン「JPYC」を発行しています [7]。
  • GMOインターネットグループ: 米国NYDFSの規制下で「GYEN」と「ZUSD」を発行している実績があり、国内では野村ホールディングス等と提携し日本法に準拠したステーブルコイン発行を検討しています [8]。

グローバル・プロトコル

基盤となるブロックチェーン技術を提供するグローバルプロジェクトも、日本市場へ積極的に参入しています。

  • Ava Labs (Avalanche): 三井住友銀行やTIS、電算システムなどと提携し、マルチトークンプラットフォームの提供やユースケースの探索を行っています [9]。
  • Solana Labs: みんなの銀行やGMOインターネットグループなどのプロジェクトで基盤技術として採用されています [10]。
  • Circle (USDC): SBIホールディングスやコインチェックと提携し、日本国内でのUSDC取り扱いに向けた準備を進めています [11]。

インフラ・基盤

ステーブルコインの発行・管理・流通を支える重要なインフラを提供する企業群です。

  • Progmat: 3メガバンクグループが出資するステーブルコイン発行管理基盤「Progmat Coin」を提供し、国内標準インフラとしての地位を確立しつつあります [12]。
  • Fireblocks: デジタル資産のカストディおよび財務管理プラットフォームを提供し、SMBCグループやTISなどとの連携を発表しています [13]。
  • SBIホールディングス: Startale Groupと共同で、新生信託銀行を発行体とする日本円ステーブルコイン「JPYSC」の開発を進めています [14]。
  • 電算システム: Ava Labsや三井住友銀行、JPYCと提携し、コンビニ収納代行インフラを活かした次世代決済基盤の構築を目指しています [15]。
  • Startale Group: SBIホールディングスとの共同プロジェクトにおいて、コアパートナーとして技術開発を主導しています [16]。

システム開発

既存システムとの統合や、監査・業務自動化ツールを提供する企業です。

  • TIS: 既存のERPとステーブルコイン決済をAPIで接続するミドルウェアを提供し、SMBCグループ等と事業化インフラを主導しています [17]。
  • アステリア: 日本円ステーブルコインの会計監査を支援する「JPYC Explorer」や、企業向け秘密鍵管理ツール「JPYC Gateway」を提供しています [18]。
  • シンプレクス: ステーブルコインの発行・償還システム「Simplex Stablecoin」を開発し、Ava Labsと共同でインフラ実証実験を行っています [19]。
  • Datachain: Progmatとの協業により、プライバシーと規制対応を両立する基盤「Datachain Privacy」などを開発しています [20]。

コンサルティング

法規制への対応や事業開発を支援するコンサルティングファームです。

  • Xspear Consulting: 親会社のシンプレクスと共同で、発行・取引業のサポートや事業開発を包括的に支援しています [21]。
  • finoject: AMLの高度化を推進し、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」支援案件に採択されています [22]。
  • ソラミツ: 国内事業者向けの発行支援に加え、CBDCとステーブルコインを活用した越境決済プラットフォームの構築を進めています [23]。
  • 野村ホールディングス: GMOインターネットグループ等と共同で発行・流通の仕組みを検討し、金融庁の実証実験支援案件にも採択されています [24]。

仲介(取引業者)

一般ユーザーや企業に対して、ステーブルコインの売買や交換の場を提供する暗号資産交換業者です。

  • SBI VCトレード: 国内でいち早く米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の取引およびレンディングサービスを提供しています [25]。
  • コインチェック: Circle社と提携し、電子決済手段等取引業の登録を前提としたUSDCの取り扱いを準備中です [26]。
  • オーケーコイン・ジャパン: ステーブルコイン「DAI」の取り扱いを行っています [27]。
  • GMOコイン: GMOグループ傘下の取引所として、今後のグループ内ステーブルコイン事業との連携が期待されます [28]。
  • ビットフライヤー: ステーブルコイン「DAI」の取り扱いを行っています [29]。

セキュリティ・AML

安全な取引環境を担保するためのセキュリティ技術やAML(アンチ・マネー・ローンダリング)ソリューションを提供する企業です。

  • 日立製作所: 12社連合によるデジタルアセット取引におけるAML高度化の実証実験を主導しています [30]。
  • Sygna: トラベルルールに対応するソリューションを提供し、国内大手取引所での採用実績があります [31]。

参考情報

本文中の [n] は以下の出典に対応します(リンクは別タブで開きます)。